炭坑の浴室はどうなってるの?

万田坑には2024年度から新たに公開となった『安全燈室及び浴室』があります。

この浴室は、万田坑での採炭が中止となった、今から74年前の1951年(昭和26年)頃から1997年(平成9年)まで使用されていた施設となります。

地下坑内のメンテナンスに従事する少人数の鉱員のための浴室ですので、万田坑最盛期の大きな浴室とは異なります。

規模は違いますが、坑内作業での汚れを落とすという目的は同じです。

作業時についた真っ黒な炭は、なかなか洗い落とせないため洗い場のほかに、

浴槽は「1番湯」と、きれいに汚れを落としてから入る「上り湯(掛かり湯)」などに分かれていました。

(万田坑最盛期、約3500名の鉱員が利用していた大きな浴室については、万田坑ガイドによる詳しい案内がありますので是非ガイドをご利用ください。)

三池炭鉱は地下水が多く、常に排水をする必要がありました。

それだけ水が豊富なら浴槽に張る水にもよいのではと思いますが、お風呂に利用される水は水道水でした。

理由は、地下から汲み上げた水の中には石炭の細かい欠片などが混じっており怪我をする危険があったため、万田坑では使用しませんでした。

軍艦島では1953年(昭和32年)に海底水道が開通するまで、島外から補給船で水を運んでいました。

当時は海水を沸かし、最後の「上り湯(掛かり湯)」に真水を使用していたそうです。

2024年に放送されたドラマ「海に眠るダイアモンド」の中でも地下坑内での作業を終えた鉱員が浴室を利用するシーンがありましたので、注目してご覧になってみてください。